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観戦旅行記 三陸探訪〜ソニー仙台vsアスルクラロ沼津

2016/10/24 19:25:00

サッカーはエンターテインメントであり、安定した日常があった上で成り立っています。安定した日常というのは人によって生活の仕方が違うので定義が難しいですが、共通して言えるのは地球という舞台の上であることでしょうか。よって地球に変動が起きればその上にあるものは全て揺らぐ可能性があります。近年、日本のスポーツ界はそのことを嫌という程思い知らされました。

この週末は多くの現地観戦の選択肢があって悩んだのですが、JFLの「10/22(土) ソニー仙台vsアスルクラロ沼津@石巻フットボール場」と「10/23(日) ヴァンラーレ八戸vsHondaFC@ダイハツスタジアム」というスケジュールを見て、こちらの方向で準備を進めました。ちょうどこの石巻と八戸間には三陸がありまだ行ったことがなかったので、この機会に行ってみようと思ったのです。東北の震災から5年半経った今の三陸の空気に触れてみました。

土日はサッカー観戦に時間が費やされるので金曜に各地を廻りました。まず釜石から三陸鉄道に乗り南へ。

大船渡市の盛(さかり)駅に到着。ここから南へは鉄道ではなくBRT(バス)になります。バスは線路を道路にしたバス専用道路を通る区間と通常の道を走る区間がありました。基本的にはJRの鉄道代行なので各駅近辺にバス停がありますが、バスの利点を生かし学校や病院にもバス停を設置していました。

さらに南下して陸前高田へ。陸前高田は想像以上に厳しい景色が広がっていました。これまでも更地になっている箇所は多くありましたが、陸前高田は平地のほとんどが更地状態でした。「奇跡の一本松」近辺も松原だったようですが、何もない状態になっており、本当にこの一本が残ったのは奇跡としか言えません。

気仙沼へ。駅は海から緩やかな坂を登ったところにあり付近の古い商店街も残っていましたが、それでも市役所にあった津波の位置の表示には驚きました。

石巻で一泊し徒歩でサッカー場へ。ここまで来た中では一番栄えている石巻は、大きな川と住宅街が広がっていました。バッタリ猫にも出会いガン見。

総合運動公園内にあるフットボール場へ。ここまで震災の爪痕がほぼ見られなかった石巻でしたが、運動公園付近には仮設住宅が並んでいました。

フットボール場は小規模ながらピッチが近くとても見やすい印象。

ソニー仙台は2011年、震災の影響により一部の試合を開催できずリーグ戦は後期試合のみが順位表対象となりました。結果、最下位となってしまいましたが、一つ上のジェフリザーブズとは3ポイント差で終わっており健闘したかと思います。チーム存続がどうなるかも気にしていたのですが、その後ソニー仙台は年毎に順位を上げ昨季はJFLのトップに辿り着きました。近年はJに行ってもおかしくないレベルの大卒選手が加入しプレーしています。

対戦するアスルクラロ沼津はJ3ライセンスをクリアし、現状の成績を考えるとJFLラストシーズンになる可能性があります。J公式戦でこのスタジアムが使われることはそうないと思うので、沼津がこの石巻の地で何を持って帰るのか。

この試合でのスタメンとフォーメーションです。

フォーメーション

フォーメーション

試合序盤は主導権を取り合う展開。お互いにミドルシュートでゴールを脅かしたり、セットプレーでチャンスを得ます。そんな中、仙台は両サイドのドリブルが効き始め、攻勢を強めました。前半30分、先制はその仙台。左サイドからのクロスに対し相手DFがクリアしたボールを拾いミドルシュート。これは当たり損ねのシュートになってしまいましたが10.有間潤のところへボールが流れギリギリのタイミングで反応しコースを変えゴールへ流れました。さらに8分後には中央高い位置から右サイドでボールを受けた16.小泉慶治がフェイントを入れた後クロス。これがハンドを誘いPKを得ると、10.有間が左隅に決めて2-0となります。16.小泉は体を当てられると厳しそうですが、ドリブルはこの試合のメンバーの中でトップクラスですね。左サイド前目の10.有間も度々カットインからゴールを狙っていましたし、とにかく仙台はドリブルが目立ちます。

一部のセットプレーとミドルシュートくらいしか見せ場がほぼなく、崩せなかった沼津はハーフタイムで選手交代。入れた10.青木翔大をトップに置き9.中村亮太を右サイドへ。23.白石智之がアウトとなります。

沼津はキックオフの際にどちらかのサイドに偏って選手を配置しているのはハイボールの後のセカンドを拾う意識からでしょうか。流れを引き寄せたい沼津ですが、前半同様仙台のドリブルに苦しみ手が出るファウルも目立ちました。

後半16分に沼津は左サイドハーフを17.太田一輝から33.染矢一樹に選手交代。その直後、仙台は左サイドからドリブルで侵入し中央でのシュートがこぼれたところを16.小泉が押し込んで3点目。

3点差となっても盛り返せず逆にイージーなミスが増え始めた沼津。仙台がいくつかのチャンスを決め切れなかったことで点差は変わりませんでしたが、自分がこれまでに見た沼津の試合の中では一番厳しい内容でした。

先日の国体決勝では沼津(静岡県)が勝ち優勝となりましたが、その借りをリーグ戦でしっかりと返したソニー仙台。ドリブルを仕掛ける選手が多いので、観る側にとっても分かりやすくて面白いと思います。この試合の観客数は400人足らずでしたが、もっと観る人が増えるといいなと思いつつ、石巻を離れ北へ向かいます。

つづく

観戦旅行記 新スタ!ヴァンラーレ八戸 vs HondaFC

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