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欧州サッカーのトレンドは変わっているのか -CL勝利チームのデータ傾向の変化-

2015/07/20 17:46:00

欧州サッカーのトップコンペティションであるUEFAチャンピオンズリーグ(以下、CL)は、欧州のみならず世界のサッカーの潮流を現している大会といっても過言ではないと思います。そのUEFAの公式ウェブサイト(uefa.com)はここ数年、世界のサッカー界のウェブサイトの中でも最先端を走ってきました。代表的なコンテンツとしてデータがあります。EURO2004でパス系のプレーデータの公開が始まり、EURO2008から走行距離も掲載されるようになりました。これはW杯(fifa.com)よりも早いタイミングです。UEFAのデータはプレスキットととしてアーカイブ化されており、数年前までさかのぼって見ることができます。ほぼ同じフォーマットなのがまたありがたいところです。

前置きが長くなりましたが、今回はここのデータからCL決勝トーナメントの勝利チームのデータ傾向を探りたいと思います。使用したデータは2010-11シーズンからのシュート、パス、ポゼッション、走行距離といったところです。これらのデータから欧州サッカーは変化しているのか調べてみました。

まず、各シーズンの上位陣をまとめておきます

各シーズンのトップ8

各シーズンのトップ8

続いて、各シーズンの決勝トーナメントの勝利チームのデータをまとめました。

勝利チームデータ

ボール支配 パスデータ

2010-11、2011-12シーズンは近いデータ傾向ですが、他はそれぞれ特色があります。特にドイツ勢決勝カードになった2012-13シーズンは、勝利チーム平均ボール支配率が最も低く支配率の分布もバラバラ。走行距離は最も長く、長距離パスの割合も最も高くなり、ドイツらしい傾向が出ています。その翌年、マドリード勢の決勝となった2013-14シーズンはシュート意識が高く、ボール支配2分5秒につき1本シュートを放つ間隔となっています。これはこの中では最も短いですね。

そして直近の2014-15シーズン。相手との走行距離差を見ると、2013-14までは試合に勝っても走行距離で相手に負けているケースがそこそこありましたが、2014-15シーズンは走り勝つケースがかなり増えました。勝利チーム平均ボール支配率も最も高い数値になり、これまでのシーズンにない傾向となっていますね。もう一つの特長としてパス成功率の高さもあります。本数は減りましたが長距離パスの成功率はこれまでの最高値から10%以上高い73.7%を記録。出せるタイミングで正確なパスを供給し文字通りピッチを広く使っているのではないでしょうか。これはまさに2014-15のチャンピオンである今のバルセロナのイメージそのものですね。

走行距離と勝敗は相関関係がないと思っていましたので、2014-15シーズンの上記傾向は少々意外でした。おそらくグループステージのデータを加えるとだいぶ変わると思います。単純な総走行距離の順位ですとグループステージ敗退チームが上位に来ますので。それでも決勝トーナメントにおいて上記傾向が表れたということは、高いレベルで勝つためにはより有機的な走り(というか移動)が求めらているのでしょうね。

各国内リーグがどうなっているのかも気になるところです。

2014-15 UEFA チャンピオンズリーグ 支配率・走行距離データ

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